Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かいろこう
薤露行
Lisez 薤露行 (かいろこう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 925 caractères · 40 écrans
強いて合わぬ目を合せて、この影を追わんとすれば、いつの間にかその人の姿は既に瞼の裏に潜む。苦しき夢に襲われて、世を恐ろしと思いし夜もある。魂消える物の怪の話におののきて、眠らぬ耳に鶏の声をうれしと起き出でた事もある。去れど恐ろしきも苦しきも、皆われ安かれと願う心の反響に過ぎず。われという可愛き者の前に夢の魔を置き、物の怪の祟りを据えての恐と苦しみである。今宵の悩みはそれらにはあらず。我という個霊の消え失せて、求むれども遂に得がたきを、驚きて迷いて、果ては情なくてかくは乱るるなり。我を司どるものの我にはあらで、先に見し人の姿なるを奇しく、怪しく、悲しく念じ煩うなり。いつの間に我はランスロットと変りて常の心はいずこへか喪える。エレーンとわが名を呼ぶに、応うるはエレーンならず、中庭に馬乗り捨てて、廂深き兜の奥より、高き櫓を見上げたるランスロットである。再びエレーンと呼ぶにエレーンはランスロットじゃと答える。エレーンは亡せてかと問えばありという。いずこにと聞けば知らぬという。エレーンは微かなる毛孔の末に潜みて、いつか昔しの様に帰らん。エレーンに八万四千の毛孔ありて、エレーンが八万四千壺の香油を注いで、日にその膚を滑かにするとも、潜めるエレーンは遂に出現し来る期はなかろう。