Classiques japonais avec furigana
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じゃせいのいん
蛇性の婬
田中 貢太郎
Lisez 蛇性の婬 (じゃせいのいん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 880 caractères · 54 écrans
紀の国の三輪が崎に大宅竹助と云うものがあって、海郎どもあまた養い、鰭の広物、狭き物を尽して漁り、家豊に暮していたが、三人の小供があって、上の男の子は、父に代って家を治め、次は女の子で大和の方へ嫁入し、三番目は又男の子で、それは豊雄と云って物優しい生れであった。常に都風たる事を好んで、過活心がないので、家の者は学者か僧侶かにするつもりで、新宮の神奴安部弓麿の許へ通わしてあった。
それは九月の末のことであった。豊雄は例によって師匠の許へ往っていると、東南の空に雲が出て、雨が降って来た。そこで、豊雄は師匠の許で、傘を借りてかえったが、飛鳥神社の屋根が見えるようになってから、雨が大きくなって来たので、出入の海郎の家へ寄って雨の小降りになるのを待っていると、「この軒しばし恵ませ給え」と云って入って来た者があった。それは二十歳には未だ足りない美しい女と、十四五の稚児髷に結うた伴の少女とであった。女は那智へ往っての帰りだと云った。豊雄は女の美に打たれて借りて来た傘を貸してやった。女は新宮の辺に住む県の真女児と云うものであると云って、その傘をさして帰って往った。