Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こうもり
蝙蝠
岡本 かの子
Lisez 蝙蝠 (こうもり) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 107 caractères · 23 écrans
皆三と自分との間柄は、たとえ多少の心の触れ合いがあったにせよ、恐らくそのくらいなことは世間の娘の誰もがもつ結婚まえの記憶であり、結婚後にも何の支障もなく残る感情だけのものではあるまいか。お涌は、世間並の娘の気持ちの立場になって、こうも考えられた。
ひどく乗気になった兄と両親と、それから日比野の女主人との取計らいで、殆ど、島谷とお涌との結婚が決定的なものとなった。
ところが、そこまで来て急にお涌の心は、何もかも詰らないという不思議なスランプに襲われた。そしてあるとき皆三の母親から聞いた皆三の、当分独身といった言葉は、皆三の性格としては、もっともと思えるが「何という意気地なし」というような言葉で、皆三を思い切り罵倒してやり度い気持ちがお涌に湧然として来た。それでいながら、早速皆三に逢うほどの勇気も出ない。日毎に憂鬱と焦躁に取りこめられるようにお涌はなって行った。
東京には、こういう娘がひとりで蹣跚の気持ちを牽いつつ慰み歩く場所はそう多くなかった。大川端にはアーク燈が煌めき、涼み客の往来は絶ゆる間もない。両国橋は鉄橋になって虹のような新興文化の気を横えている。