Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

Lisez 蟹工船 (かにこうせん) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 61 890 caractères · 125 écrans

Aozora Bunko

ロシアの船らしかった。たしかに日本の「蟹工船」に対する監視船だった。

「俺らもう一文も無え。――糞。こら」

そう云って、身体をずらして寄こした。そしてもう一人の漁夫の手を握って、自分の腰のところへ持って行った。袢天の下のコールテンのズボンのポケットに押しあてた。何か小さい箱らしかった。

一人は黙って、その漁夫の顔をみた。

「ヒヒヒヒ……」と笑って、「花札よ」と云った。

ボート・デッキで、「将軍」のような恰好をした船長が、ブラブラしながら煙草をのんでいる。はき出す煙が鼻先からすぐ急角度に折れて、ちぎれ飛んだ。底に木を打った草履をひきずッて、食物バケツをさげた船員が急がしく「おもて」の船室を出入した。――用意はすっかり出来て、もう出るにいいばかりになっていた。

雑夫のいるハッチを上から覗きこむと、薄暗い船底の棚に、巣から顔だけピョコピョコ出す鳥のように、騒ぎ廻っているのが見えた。皆十四、五の少年ばかりだった。

「お前は何処だ」

「××町」みんな同じだった。函館の貧民窟の子供ばかりだった。そういうのは、それだけで一かたまりをなしていた。

「あっちの棚は?」

「南部」