Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はえおとこ

蠅男

海野 十三

Lisez 蠅男 (はえおとこ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 129 caractères · 237 écrans

Aozora Bunko

糸子は何か苛々している様子だった。

宝塚ホテルが出た。

お松がそれを知らせると、糸子はとびつくようにして、電話口にすがりついた。

「宝塚ホテル? そう、こっちは玉屋糸子だすがなア。帆村荘六はんに大至急接いどくなはれ」

「ええ、帆村はんだっか。いまちょっとお出かけだんね。十二時までには帰ると、いうてだしたが……」

と、帳場からの返事だった。

「まあ、仕様がない人やなア。どこへ行ったんでっしゃろ」

「さあ、何とも分りまへんなア」

糸子は落胆の色をあらわして溜息をついた。

「なんぞ御用でしたら、お伝えしときまひょうか」

と帳場が尋ねると、糸子は急に元気づき、

「そんなら一つ頼みまっさ。今夜のうちに、こっちへ来てくれるんやったら、例の疑問の人物について、私だけが知っとることを話したげます。明日から先やったら、他へ知らせますから、後から恨まんように――と、そういうておくれやす」

そこで話を終り、糸子は電話を切った。

お松は傍で聞いていて、可笑しそうに笑った。

「なんや思うたら、もう帆村はんと休戦条約だっか。ほほほほ」

しかし糸子は、思い切ったことを、帆村に申し入れたものだ。