Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はえおとこ
蠅男
海野 十三
Lisez 蠅男 (はえおとこ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 129 caractères · 237 écrans
ここは大阪の南部、住吉区の帝塚山とよばれる一区画の朝だった。
「この臭は、ちょっとアレに似とるやないか」
「えッ、アレいうたら何のことや」
「アレいうたら――そら、焼場の臭や」
「ああ、焼場の臭?」お手伝いさんは白いエプロンを急いで鼻にあてた。「そうやそうやそうや。うわァこら焼場の臭いやがナ」
そのうちに、臭いを気にする連中が、あとからあとへと起きてきて、てんでに廂を見上げたり、炊きつけたばかりの竈の下を気にしたりした。だがこの淡い臭気が、一たい何処から発散しているものか、それを突き止めた者は誰もなかった。
ワイワイと、近所の騒ぎはますます激しくなっていった。しかも臭気はますます無遠慮に、住民たちの鼻と口とを襲った。
東京のビジネス・センター有楽町に事務所をもつ有名な青年探偵の帆村荘六も、この騒ぎのなかに、旅館の蒲団の中に目ざめた。彼は或る重大事件の調査のため、はるばるこの大阪へ来ていたのだった。そして昨夜から、このマスヤ旅館に宿泊していた。
「――や、どうも。帝塚山はたいへん静かだという話だったが、こう騒々しいところをみると、あれはわざと逆の言葉を使って、皮肉を飛ばしたつもりなのかしら」