Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lisez 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 970 caractères · 176 écrans

Aozora Bunko

戸板から滴が落ちて、日和つづきで白く乾いている庭の礫の上へ滴り、潰れた苺のような色を作した。

血だ!

「咽喉が渇いてたまらねえ。水だ水だ」

と喚いて、一人の男が、一団から離れ、母屋と隠居家との間にある井戸の方へ走って行った。すると、母屋の縁側近くに集まって、餌をあさりはじめていた、例の家鶏の一群は、これに驚いたか、けたたましく啼き出し、この一団が侵入して来た時から、生け垣の隅で臆病らしく吠えつづけていた犬は、今は憤怒したように猛りたった。

「俺らも水だ」

と、云って、もう一人の男が、井戸の方へ走った。

そういう二人にはお構いなく、戸板を担った一団は、庭の外れ、街道に添って建ててある、大きな納屋の方へ走って行った。

農事がそろそろ忙しくなる季節であった。この家の人々は、おおかた野良へ出て行ったとみえて、子守娘と、老婆とが、母屋の入り口に茣蓙を敷き、穀物の種を選り分けていたが、その一団を見ると、呆気にとられたように、眼を見合わせた。

咽喉が渇いてたまらねえ、水だ水だと喚いた最初の男が、井戸端まで行った時、井戸の背後の方に、藁葺きの屋根を持った、古い小さい隠居家が、破れ煤ぶれた障子を陽に焙らせて立っていたが、その障子が、内側から細目に開き、一人の武士が、身を斜めに半身を現わし、蒼味がかった、幽鬼じみた顔を覗かせた