Classiques japonais avec furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lisez 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 970 caractères · 176 écrans
この時まで息を呑み、唾を溜めて、紙帳を見詰めていた四人の浪人は、不覚にも狼狽した声をあげながら、刀へ飛びかかり、ひっ掴み、腰へ差した。その時はじめて怒りが込み上げて来たらしく、
「これ、そこな武士、無礼といおうか、不埓といおうか、無断で我らの腰の物を持ち去るとは何事じゃ! 出て来い! 出て来て謝罪いたせ!」と、角右衛門が怒鳴った。
すると、それに続いて、南京豆のような顔をした紋太郎が、
「出て来い! 出て来て謝罪いたせ!」と鸚鵡返しのように叫び、「それに何んぞや鈍刀とは! 我らの刀を鈍刀とは!」
「何者じゃ! 名を宣れ! 身分を明かせ!」
とさらに角右衛門が怒鳴った。
すると、紙帳の中の武士は、少し嗄れた、錆のある声で、「拙者の名は、五味左門と申す、浪人じゃ。当家が浪人を厚遇いたすと聞き、昨夜遅く訪ねて参り、一泊いたしたものじゃ。疲労れていたがゆえに、この部屋へ早く寝た。しかるにさっきから、遠くの部屋から、賑やかな、面白そうな話し声が聞こえて来た。一眠りして、疲労の癒えた拙者、眼が冴えて眠れそうもない。会話の仲間へはいり、暇を潰そうと声をしるべに尋ねて行ったところ、広い部屋へ出た。