Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

Lisez 街はふるさと (まちはふるさと) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 193 435 caractères · 389 écrans

Aozora Bunko

しかし何一つ思い当るものはなかった。

第一、何かを思い当て得るような根拠ある思考力を自覚することすらもできない。なんとなく空転し、いつまでも空虚なものを自覚しうるだけである。

もしも、何か思い当ることがあるとすれば、一山のマッチが昨日から思い当っているだけなのだ。それに限定されているだけで、それ以外へ閃く思考の自由すらも失っているかのようだ。

「なんのために灰皿を買ったんだろう。タバコをすうようになったのかしら? それとも、来客のためだろうか?」

マッチに限定された思考力は、そんなことだけ考えていた。彼はピンクの小さな灰皿を手にとって、空転する頭をもてあましていた。

「とにかく、礼子さんに会ってみよう」

彼はあきらめて立ち上った。

十

バーで礼子に会った。放二の来意をきくと、皆まで言わせず、礼子は彼を近所の喫茶店へさそった。

「なんですッて? 一山のウチのマッチ?」

礼子は笑った。

「そうね。いらッしゃるたび、テーブルのマッチはきッと持ってお帰りですのよ。あのお店は各テーブルに必ず二ツずつのマッチを置いとく習慣なんです。なんとなく持ち帰って、お使いにならなかったのね」