Classiques japonais avec furigana
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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
Lisez 親鳥子鳥 (おやどりことり) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 88 828 caractères · 181 écrans
何処の家でも長男が一番骨の折れるのは親が不慣れだからですわ」
とお母さんは僕の為めに弁じてくれた。
「それも確かにあったろうね。兎に角奇抜だったよ。茶碗の向う側から飲まなけりゃ承知しないという無法ものだったからね」
「お茶碗の向う側って、そんな飲み方がありますの?」
と郁子は直ぐに疑問を発した。これはお父さんが以前一度話したから知っている筈だのに、僕を困らせようと思って、態と訊いたのだ。
「茶の湯にもあるまいね。斯うやるのさ。茶碗を両手でこんな具合に鷲掴みにして、おい、浩二も御覧、兄さんのお茶の飲み方だよ、坊やよりも小さい時の……」
とお父さんは持っていたお茶碗を不器用に掴み直して、
「……当りまえに此方側から飲まずに、斯う口を開いて向う側へ喰いつこうとするから、お茶は皆胸へこぼれて……あつつ! これはしまった。お鶴や、雑巾、じゃない、布巾だ布巾だ」
「お蔦や、早くその手拭を取っておくれ。まあまあ、あなたも未だエプロンが要りますのね」
とお母さんが驚く。
「やあ、お父さんがこぼした!」
と浩二は伸び上り、兎角他の失策を喜ぶ郁子と敏子は無論クスクス笑い出した。