Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うたせてやらぬかたきうち

討たせてやらぬ敵討

長谷川 伸

Lisez 討たせてやらぬ敵討 (うたせてやらぬかたきうち) de 長谷川 伸 (はせがわしん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 752 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

焔は凄じく大小無数の毒舌をいよいよ吐いていた。

「火をかけて逃げ去りおったに極った」

才蔵はそう感じたのだ。

「なるほど、彼奴にはかられた。まだ遠く逃げ延びもしまい、追いかけよう」

妻きいは蒼くなって、一語も発せず、夫の後について歩いた。

「うわッ火事じゃ、火事だあ」

消魂しく叫んで、のめりそうになって走って行く老僕に眼もくれず、三人は家の周囲を駈けめぐったが、中へ踏み込むことは出来なかった。そのうちに、きいが消魂しく叫んだ。

「屋根の上に、あれ、人が、人が」

慎九郎は血走る眼で睨んだ、板屋を下から突き破ったものか、乱髪になった男が一人、大刀一本を腰に横えて、四方からのぼる、焔と煙の中に閉じこめられ、すっく、と起とうとしては起ち得ず、再び起とうとして起ち得ず、とうとう棟に腰をかけた姿が、落ちて行った日の光より赤い、焔のかがやきに照らし出された。

「あれは宮内じゃ、きい、彼奴じゃ、敵じゃ」

慎九郎はたたらを踏んで、焔の外側を走せめぐった。

「卑怯者ッ、宮内の卑怯者ッ」

甲走るきいの声は、焔と煙とを衝いて、板屋の棟にいる宮内に届いた、宮内はゲラゲラと、精力を一途に集めたような、笑い声を上から浴せかけて酬いた。