Classiques japonais avec furigana
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うたせてやらぬかたきうち
討たせてやらぬ敵討
長谷川 伸
Lisez 討たせてやらぬ敵討 (うたせてやらぬかたきうち) de 長谷川 伸 (はせがわしん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 752 caractères · 22 écrans
きいは一礼して去った。その後姿を見送っていた慎九郎は、宮内を眼中におかず、黙って立去ろうとした。
「慎九郎待て」
無言で小戻りしてきた慎九郎は、宮内の眼のところへ、自分の鼻が押しつくほどに近づけ、顔中の筋を一つも動かさずにいた。この男も妬いているのだ。
「目礼をしたのに何故答えぬ。宮内にはそうせずともよいのか」
「そこにいたのか、さらば、更めて目礼するぞ。これでよいか、あまりかぼそいから見損たのじゃ」
「それが挨拶の作法か」
「生島流儀じゃ、気に入らぬでも是非がない、ぬしある女の顔を、しげしげと眺めるのが武士の作法と心得た奴に、慎九郎風の挨拶、気に入らぬかも知れぬのう」
「聞き棄てにならぬぞ。なに、ぬしある女の顔がどうしたというのじゃ、弓削田宮内が不義でも仕掛けたというのか、明白にいってくれ、余のこととは違うぞ、色情沙汰の悪名は名折れじゃ」
「いうは易いが、まあ自身に問うてみろ」
「なに」
「なんだ、宮内その拳は何処へやる気だ、刀へかけるのなら、潔くかけろ、慎九郎は非力者が相手じゃとて、遠慮はせぬ男じゃ」
「…………」
「細作は人並みに仕遂げたが、抜き合わせたら十のうち十までケシ飛ぶこと請合の非力者の腕、滅多に拳を刀に近づけるなよ、危ないから」