Classiques japonais avec furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lisez 貞操問答 (ていそうもんどう) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 200 240 caractères · 399 écrans
五
だから、わずかの間ではあったが、子爵の心には、新子に対する深い親愛と好意とが湧き上った。
しかし、最後の言葉が、いけなかった。単数の愛人あり! それは(われに、近寄り給うな)と、いう警笛のようにも聞えた。
五
子爵は、歩きながら考えた。単数の愛人って、誰だろうか。まさか、準之助氏ではあるまい。でも、昨日、新子が負傷した時の、準之助氏の狼狽えかたは、少し可笑しかった。それに、新子を見るときの情熱の籠った双眸! でも、まさかと子爵は、そんな考え方を捨てようとした。
両側の草原から、絶えず、清々しい香りが立ち上って、胸を気持よく柔らげるのであった。
小太郎が、大きい揚羽の蝶を見つけて、草原の中へ十間ばかり追いかけて行った。
しばし黙っていた木賀子爵は、その機会に、
「マダムは、難物ですが、前川氏は、きっといい味方になってくれるでしょう。あの人は、元来女性尊重主義者だから……」
「まあ、なぜ……貴君はそんなことをおっしゃるのですの。」
木賀の云い方に、すぐ賛成するかと思った新子が、思いがけなく反撥したので、木賀は大きく見張った新子の視線を、あわててそらしながら、