Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lisez 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 351 caractères · 43 écrans
藤吉はあっけにとられた。
――あいつがいっしょに江戸へゆくって云うんだ、冗談じゃあねえ、と猪之はそわそわしながら云った。猫を番わせやあしめえし、そうおいそれと背負わされて堪るかってんだ、冗談じゃあねえ、まっぴら御免だ。
――おい、おちついてわけを話せ、いったいどういうことなんだ。
そんな暇はない、と猪之は答えた。わけは江戸へ帰ってから話す、おせいのやつ怒ってたから、ここへ押しかけて来るかもしれない。もしやって来たら追い返してくれ、ともかくおれは先に立たせてもらうから。そう云いながらさっと身支度をし、草鞋の緒もろくさましめずにとびだしていった。そして、藤吉が怒るにも怒れず、坐ったまま唸っていると、引返して来た猪之が戸口から覗き、べそをかくようなあいそ笑いをして、去った。
――あにき、江戸へ帰ったらおれを、気の済むまでぶん殴ってくれ。
おせいは来なかった。押しかけては来なかったが、職人が飲みにいったら、酔っぱらってさんざんに毒づいたそうである。あんなやつは男ではないから始まって、江戸の人間ぜんたいを泥まみれにし、粉ごなにし、「土足で踏みにじるようなあんばいだった」