Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lisez 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 351 caractères · 43 écrans
「ちょっとまごついたかもしれないがね」
「あっしはおっそろしくこわくなった」と猪之は云った、「九つぐらいでこんなことを知ってる、女なんておっかねえもんだ、ひでえもんだって、おぞ毛をふるいましたよ」
「下町育ちで職人のくせに」と登はまた笑いながら云った、「おまえはまたひどくおくてだったとみえるな」
「そうですかね、へえ」と猪之は首をかしげた、「そんなもんですかね」
「そんなものらしいな」と登は云った。
登はここが治療の手掛りだと思った。
去定の診断にも一面の理はあるが、それだけではない、女に惚れては逃げる、ということの繰り返しには、おたまとの出来事が深く頭にひっかかっている。
それさえ除けば恢復に向かうだろう、と登は信じた。――登の診断が正しかったかどうか、秋にはいってまもなく、登は庭で珍らしいことをみつけた。猪之は夕方にいちど、外へ歩きに出ていたが、登が偶然みつけたとき、彼は手籠を提げて、一人の女といっしょに歩いていた。
「ほう」と登は思わず眼をみはった。
女はお杉であった。あるじおゆみの夕食を取りに来て、戻るところだろう、猪之の提げている手籠は食事を運ぶもので、まえから登は見馴れていた。