Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Lisez 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 174 caractères · 33 écrans
「何さ、お前さんの前身が闇を世界の姐御などにはとても見えねえと云ったまでさ」
南無三宝! 絶体絶命!
「妾の前身でござんすか」
お袖はにわかに眼をしばたたき、
「卑しい夜鷹ではござんしたが、根からの夜鷹ではござんせぬ」
「そりゃ云うまでもないことさ。オギャーと産れたその時から夜鷹商売をするものはねえ」
「妾は播州赤穂産れ。家は塩屋でござんした」
「何、赤穂の塩屋だって? ふうむ、こいつは聞き流せねえ。ところで屋号は何と云ったね?」
忠蔵は急に真顔になった。
「はい、山屋と云いましたよ」
「ぷッ」と驚いた忠蔵はつくづくとお袖の顔を見たが。
「それじゃもしや本名は……」
「はい、本名でござんすか。本名はお浪と申します」
「ううむ、お浪! ではいよいよ。……もしやお前の右の腕に、蟹に似た痣はなかったかな?」
「どうして詳くそんな事まで……」
不思議そうにお袖は云いながらグイと袂を捲り上げた。むっちりと白い二の腕のあたり鮮かに見える蟹の痣。
「あッ」と驚いた忠蔵がヨロヨロと蹣跚くその途端、丸窓の障子に音がして、ヒューッと白い物が飛んで来た。それがお袖の襟上に刺さる。白糸の付いた、木綿針だ! お袖を殺せとの命令である。