Classiques japonais avec furigana
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あしがるほうこう
足軽奉公
山本 周五郎
Lisez 足軽奉公 (あしがるほうこう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 949 caractères · 28 écrans
……右田藤六は親の代からの足軽で、二十歳のときその小頭を命ぜられ、「気骨者」としてなかまの衆望を集めていた。
かれの住んでいる長屋は、槍術の師範をする横井大学の屋敷に近く、大学の子の横井鉄之助とは幼少の頃から往来した縁で、十五歳のときその道場に入門をゆるされ、現在では師範の大学とさえ対等で勝負のできる腕になっていた。かれは自分が修業を励むかたわら、なかまの足軽たちにも少しずつ手解きをしてやり、望みのある者は特に願って横井道場へ入門させるなど、尚武の風を興すことに力を尽してきたのであった。
親代々の食禄を守っていればよい、もはや合戦ということもない、士分の人々のそういう偸安に対して、足軽たちは出世したいという希望があった。
「せめては士分に取立てられたい」
多かれ少なかれそういう望みをもっていた、しぜん稽古も熱心だし上達もめざましく、そのうえ人数もしだいに多くなるばかりだった。……けれどもいかに槍術が達者になっても足軽は足軽である、藩では毎年五月五日に「大試合」というものがあって、家中の者の槍術くらべを催すのだが、足軽は一人も出ることができない、師範と対の勝負をする右田藤六でさえ出場を許されないのである。