Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
れきしにん
轢死人
豊島 与志雄
Lisez 轢死人 (れきしにん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 880 caractères · 8 écrans
轟然たる響きが、隧道と共に後方に遠ざかっていって、窓硝子にこびりついていた煤煙が、拭うように吹き払われていった。車室内の空気は少し濁っていた。二三の窓が開けられた。凉しい空気が流れ込んできた。
細かな雨が粗らに落ちていた。車窓から覗くと、黄色くなりかけた稲田、稲田の中の一条の小川、小川の堤の灌木の茂み、その向うの小さな山、それらの上に、薄く曇った午後三時過ぎの空が、低く垂れていた。
「汽車を早く止めたらよかったんだろうがね。」と私は話の終りに云い添えた。「少くとも機関手には遠くから、その男の姿がみえた筈だろうじゃないか。」「そうはゆかないだろう。」とU君は云った。「飛び込む者が居ると前から分って居ても、汽車は急に止めることはないものだよ。なぜって、もし急に止めたら、乗客のうちに幾人も怪我人が出来るし、場合によっては死人が出来るかもしれないからね。一人を見殺しにして大勢を助けるというやりかただよ。然し衝突や脱線の場合には仕方がない。だから隅に乗ってるのは危険だよ。殊に前方の隅は危険だよ。」
U君の説によれば、前方の隅に腰掛けてると、汽車が急に止った場合には、物理でいう慣性の法則に随って、前方へ身体が激しくのめるので、腰板なんかに頭をひどくぶっつけるそうである。