Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

れきしにん

轢死人

豊島 与志雄

Lisez 轢死人 (れきしにん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 880 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

変だなと頭の遠い奥で考えていると、汽車は速力をゆるめていた。やがてごとりと一つ反動をなして止まった。

乗客等はふと我に返ったように互に顔を見合した。停車場でも何でもない野の中である。そういう風に途中で汽車が止まることは、時々あるのだったが、然し何となく不安げな感じが、車室の中に伝わってきた。

「土木請負師」達が、窓から首をつき出して覗いた。私も窓を明けて外を覗いた。一二粒の雨に冷りと頬を打たれた。見ると、次の三等車の窓には乗客の顔がずらりと並んでいた。でもまだ何のことだか分らなかった。

そのうちに、機関車に近い所から、車掌と火夫とが二人下りて来た。列車の下を覗き込みながら、だんだん私達の方へやって来た。「轢死人」という無音の声が何処からとなく皆の耳に伝わってきた。

車掌と火夫とは、私が覗き出してる窓のすぐ下で立ち止まった。二人で何か囁き交した――私には聞えなかった。すると火夫は、いきなり列車の下に屈み込んで、両手を差伸ばしたかと思うと、ずるずると大きな物を引張り出した。……白足袋をはいた小さな足、それから、真白な二本の脛、真白な腿、それから、黒っぽい着物のよれよれに纏いついた臀部、……それから、腰部でぶつりと切れていた、四五寸ばかりにゅっとつき出た背骨を中心に、真赤な腰巻が渦のように捩られて、どす黒い血に