Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

れきしにん

轢死人

豊島 与志雄

Lisez 轢死人 (れきしにん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 880 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

染んでいた。火夫はそれを無雑作に線路の横の草地に放り出した。捩切られた腰部の切口を、背骨に絡みついてる真赤な腰巻と血肉との切口を、こちらに向けて、真白な完全な円っこい両足が、腿から下は露出したまま、だらりと草地の上に横たわった。

腰から上がないだけに、真白なだけに、完全なだけに、一層不気味な両足だった。

私は窓から身を引いた。向う側の窓から、海軍士官が外を見ていた。私はふらふらと、殆んど何の気もなく、歩いて行ってその窓から覗き出した。十二三間ばかり後の方に、真黒な物が転がっていた。髪を乱した女の頭だった。南瓜のようにごろりと投り出されていた。他には何にも見えなかった。

私はまた自分の窓に戻って来た。見ると、車掌と火夫とは機関車の方へ戻って行って、車室へ上ってしまった。汽笛が一つ鳴った。汽車は進行しだした。腰から下の死体は、線路の傍に放り出されたままだった。眼を外らすと、向うの小川の堤に、六七人の農夫が佇んで、こちらを眺めていた。雨は止んでいた。かすかな風が稲田の面を吹いていた。

私は窓をしめて席についた。皆黙っていた。向うの年若な母親が子供を膝の上に抱き上げて、そのうえからおっ被さるようにして屈み込んでいた。