Classiques japonais avec furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lisez 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 469 caractères · 157 écrans
一同が眼をしばたたいて快人篠崎仁三郎の一代を惜しんだだけの事であったがここに困った事には、一旦、天主教に入った以上、葬式もやはり、大名町の赤煉瓦の中で執行せなければならぬというので、市場連中は相当ウンザリさせられたものらしい。
然し仕方がない。何にしろ博多ッ子の中の博多ッ子、湊屋仁三郎の葬式じゃけに、一ツ思い切って立派にしてやれというので、生魚、青物両市場の大問屋全部が懸命の力瘤を入れた。
「相手がアーメンと思うと、いくら力瘤を入れても、入れ甲斐がないような気がして、チーット力瘤を入れ過ぎたようです、とうとう大椿事になりましてなあ――」
とその時の有志の一人が語った。
当日は予想以上の盛会であった。
「仁三郎さんが、ヤソ教で葬式されさっしゃるげな、天国へ行かっしゃるげなけに、死んでも亦と会われんかも知れん」
というので、知るも知らぬも集って来た結果会衆は会堂に溢れ会堂を取り囲み、往来に溢れるという素敵な人気であった。
同時に、その時の葬式が亦、師父ジョリーさんの全幅を傾けて計画した天主教本格の盛大、長時間のものであったらしい。但し今度は会堂の中が椅子席だったので、重立った連中は、大部分脚のシビレを助かったというが、それでも中央の通路に突立っていた者は二三人引くり返ったくらい盛大荘重なものがあったという。