Classiques japonais avec furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lisez 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 79 469 caractères · 157 écrans
そんな奴はイクラ助けても帰順する奴じゃないけに、総督府の費用を節約するために、ワシの一存で片端から斬り棄る事にしておった。今の日本人の先祖にしてはチッと立派過ぎはせんかのうハッハッハッハッ」
日本に帰って千代町の役場に奉職している時は毎月五円の月給(巡査の月給二円五十銭、警部が三円時代)を貰っていたが、その殆んど全部が酒代になっていた事は云う迄もない。今は故人になった前の福岡市の名市長、佐藤平太郎氏は神戸署の一巡査の身で、外人の治外法権制度に憤慨し、神戸居留地域を離るる一間ばかりの処で、人力車夫に暴行して逃げて行く外人を斬って棄て、天下を騒がした豪傑であるが、氏は語る。
「巡査を罷めて故郷に帰り、久し振りに昔の面小手友達の奈良原を千代町の寓居に訪うてみると、落ちぶれたにも落ちぶれないにも四畳半といえば、四畳半、三方の壁の破れから先は天下の千畳敷に続いている。その秣を積んだような畳の中央に虱に埋まったまま悠々と一升徳利を傾けている奈良原を発見した時には、流石の僕も胸が詰ったよ。僕も相当、落ちぶれたおぼえはあるが、奈良原の落ちぶれようには負けた。アンマリ穢いので上りかねているのを無理に引っぱり上げた奈良原は大喜びだ。