Classiques japonais avec furigana
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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
Lisez 進化と人生(上) (じんるいのせいぞんきょうそう) de 丘 浅次郎 (おかあさじろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 82 343 caractères · 164 écrans
の像や仏の像を建てるよりは苔虫の拡大像を建立したほうがはるかに理にかなっている。特に近ごろのようにくだらぬ人間の銅像をここにもかしこにも建てるのにくらべれば、苔虫の銅像を建てて、この虫のごとくにおのれの欲するところを他に施せよ、この虫のごとくに早く小我の境を脱して大我の域に進めよ、という訓戒をつねに眼の前に示しておいたほうが、世道人心を益するに幾倍の効があるかわからぬ。
苔虫の国には罪悪がないゆえ、罪悪を未然に防ぐべき宗教道徳がいらぬと同じく罪悪を未然に制すべき法律も全く必要がない。したがって法律に関係したものは一つもいらぬ。明白な事件を二年も三年もかかって調べる裁判所もなければ、疑いもない大悪人の無罪を主張する弁護士もない。これを思うと、今日の人間の団体生活は実に不完全きわまるもので、苔虫などとはとうてい比較すべき価値はないのである。われらは長く苔虫類の生活状態を見なれた結果として往々自身を苔虫の地位において、人間界のできごとを観察する習慣が生じ、何事を見るにあたっても苔虫的見地から批評を下すを禁じえない場合があるが、帝都の中央に大審院や司法省の大廈高楼が巍然として立っているのを見、またこれを写真にとり絵端書などに造って誇っている世上のありさまを見て、かかる立派な建築物を要するほどに司法事業の繁昌する