Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かとにん

過渡人

豊島 与志雄

Lisez 過渡人 (かとにん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 206 caractères · 41 écrans

Aozora Bunko

俺はこの気持ちを或は自然の印象のせいかとも思う。春になり切れない自然のうちには、如何に柔い光線としっとりとした陰影とはあっても、猶痛ましい荒凉を湛えている。寒風に荒された自然の膚がまだ露出している。不調和なものが其処に在る。そしてその落ち付かぬ不調和の底から新らしいものが、新らしい生命が、一斉に萠え出でようとしている。……そういう自然のうちに新らしい謎が醸される。そしてそれが俺の心に触れたのかも知れない。

俺は空と地とを自分の心で触ってみた。空は柔く霞んだ大気が一杯に太陽の光線を孕んでいた。地には真黒い大地の膚から青い麦の芽がひょろひょろと出ていた。枯れた叢のうちに蒲公英の花が一つふっと咲いてるのもあった。それから小さい流れの岸に立つと、おう、冷たい水と、それに映じた空の光り、静かな音を立てて流れる水に暖い日の光りが吸い込まれてゆく。……何かが眼を見張っている、何かが静に微睡んでいる。

自然のうちに何処かに穴があいてるように俺は感じた、そして自分のうちにも何処かに穴が開いているのを。そういう感じが俺の心を自分の方へ集注さした。俺は余り呑気にしてはおれなかった。