Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
Lisez 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 456 caractères · 52 écrans
というと、楫取の藤介や水夫頭の庄兵衛までが同意し、てんでに数珠繩で首縊りの輪索をつくり、それをズラリと船梁に掛けつらね、
「あれは誰の輪索、これは誰の輪索」
と指差しながら語りあうのもあわれであった。
重吉は馬鹿らしいと思ったが、口に出していうわけにもいかない。いよいよこれまでと晴着に着換え、みなといっしょに輪索に首を突っこんだことが、その年の暮までに前後十六遍あったが、いざという時になるといくらか波風がしずまり、そのたびにあやうく命を拾った。
その年も押詰って大晦日になった。重吉は表ノ間へみなを呼んでいった。
「まずまず、この年も今日一日になった。春になれば南か東風が吹きだすから、故郷へ吹き戻される便宜もあるだろう。いい年のはじめになるように、目出度く〆飾をして正月を迎えよう」
水夫には、ありあうもので〆飾をつくるようにいいつけ、賄の孫三郎には、豆の粉の団子を塩水で茹であげ、形ばかりの鏡餅をつくるように手配させた。夕七ツ時、重吉が胴ノ間のランビキにとりつき、御酒代りの水をとっていると、上のほうで、大勢でなにか息巻いているような声がする。また喧嘩でもはじめたのかと甲板に上ってみると、いるだけの人数が、つくりかけの〆飾を眺めて泣いている。