Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じゅうきちひょうりゅうきぶん

重吉漂流紀聞

久生 十蘭

Lisez 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 456 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

気を落着けて聞いてみると、そこ此処と指で地図を指しながら、「ミヤコ」とか「キュウシュウ」とか、「エド」とか、あるいは「スルガ」とか言っている。お前はどこの国のものかとたずねているのだと思ったので、尾張の国を示して「ナゴヤ」とこたえ、遠州の海岸のあたりを指でおさえて、口で風の吹く音をたて、ここから南へ流されたという仕方をしてみせると、わかったというしるしに、よしよし、とうなずいてみせた。

こちらの言うことは通じたようだが、そんならこの異国人はどこの国のひとか聞いておきたい。重吉は自分の胸を指して「ナゴヤ」といい、すぐ指で三人の胸を指して首をかしげてみせると、すぐ理解して「ロンドン」と答えた。

いくど聞きなおしてもロンドンとしか聞えないが、オランダといっているのが自分の耳にそう伝わるのにちがいない。この船は東北のほうへ走っていたが、たぶん長崎へ行く途中なので、日本船と見て船を停めたのは、救いあげて長崎まで送り帰そうためなのだろうと思うと、それでいくらか気持が落着いた。

なにやかや話があってから、エベットは重吉を舳のほうの小さな部屋へ連れて行き、ここがお前の居るところだと手真似してみせた。