Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lisez 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 71 271 caractères · 144 écrans

Aozora Bunko

湖水は瀲も動かない。

二人がどうして一緒になろうかという問題を、しばらくあとに廻し、今二人は恋を命とせる途中で、恋を忘れた余裕に遊ぶ人となった。これを真の余裕というのかもしれぬ。二人はひょっと人間を脱け出でて自然の中にはいった形である。

夕靄の奥で人の騒ぐ声が聞こえ、物打つ音が聞こえる。里も若葉も総てがぼんやり色をぼかし、冷ややかな湖面は寂寞として夜を待つさまである。

「おとよさん面白かったねい、こんなふうな心持ちで遊んだのは、ほんとに久しぶりだ」

「ほんとに省さんわたしもそうだわ、今夜はなんだか、世間が広くなったような気がするのねい」

「そうさ、今まではお互いに自分で自分をもてあつかっていたんだもの、それを今は自分の事は考えないで、何が面白いの、かにが面白いのって、世間の物を面白がってるんだもの。あ、宿であかしが点いた、おとよさん急ごう」

恋は到底痴なもの、少しささえられると、すぐ死にたき思いになる、少し満足すればすぐ総てを忘れる。思慮のある見識のある人でも一度恋に陥れば、痴態を免れ得ない。この夜二人はただ嬉しくて面白くて、将来の話などしないで寝てしまった。