Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぎくのはか
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lisez 野菊の墓 (のぎくのはか) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 539 caractères · 67 écrans
僕は初め無造作に民さんと呼んだけれど、跡は無造作に詞が継がない。おかしく喉がつまって声が出ない。民子は茄子を一つ手に持ちながら体を起して、
「政夫さん、なに……」
「何でもないけど民さんは近頃へんだからさ。僕なんかすっかり嫌いになったようだもの」
民子はさすがに女性で、そういうことには僕などより遙に神経が鋭敏になっている。さも口惜しそうな顔して、つと僕の側へ寄ってきた。
「政夫さんはあんまりだわ。私がいつ政夫さんに隔てをしました……」
「何さ、この頃民さんは、すっかり変っちまって、僕なんかに用はないらしいからよ。それだって民さんに不足を云う訣ではないよ」
民子はせきこんで、
「そんな事いうはそりゃ政夫さんひどいわ、御無理だわ。この間は二人を並べて置いて、お母さんにあんなに叱られたじゃありませんか。あなたは男ですから平気でお出でだけど、私は年は多いし女ですもの、あァ云われては実に面目がないじゃありませんか。それですから、私は一生懸命になってたしなんで居るんでさ。それを政夫さん隔てるの嫌になったろうのと云うんだもの、私はほんとにつまらない……」
民子は泣き出しそうな顔つきで僕の顔をじいッと視ている。