Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のはぎ
野萩
久生 十蘭
Lisez 野萩 (のはぎ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 480 caractères · 21 écrans
二
おやおや、なつかしいこと」
他国で旧知にでも逢ったようにニコニコしていたが、
「ねえ、滋さん、あの上へのぼれるのかしら。エッフェル塔のてっぺんで初日の出を拝んだといったら、話の種になるわね」
「ええ、のぼれるのよ。でも、あそこが開くのは十時ですから、お日の出を拝むというわけにはいかないわね」
「ええええ、それで結構だから」
うつらうつらしながら、そんなことを思いだしていると、安が小走りに部屋へ入ってきて、
「滋さん、こんなところにいたの。もう時間よ、さあ、出かけよう」と、せきたてた。
二
川崎をすぎると、前窓にあたる風の音が強くなってきた。沖に白く波がしらがたち、倉庫の尾根の上で、群れ鳩が風にさからいながら輪をかいている。岸壁でさんざんに吹きまくられるのかと思うと、やはり服にすればよかったと、急に振りの赤さが気になってきた。
欧州引揚船の荷物検査は無事にすんだためしがないが、こんどもまた、子供の靴下から、ぞろりと宝石があらわれて、五日も観音崎の沖でとめられ、ようやく上陸許可になったと思うと、検疫中にチフス患者が出たり、なにか、ひどくごたごたした。
安は白足袋の爪先をきっちりと揃え、伏目になって、なにかかんがえているふうだったが、