Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きんぎょ
金魚
豊島 与志雄
Lisez 金魚 (きんぎょ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 765 caractères · 8 écrans
「金魚を見ると、僕はある春の一日のことを思い出して、いつも変な気持になる、」と云ってSが話したことを、そのまま三人称に書き下したのが、次の物語りである。
彼は愉快で堪らなかった。何故だか分らなかったが、心が軽く空中に漂っているような心地だった。愉快というものは、うち晴れた空に浮んでる雲のようなものだ、と彼は思った。
それは美しく晴れた春の日だった。
朝八時半に眼を覚した。考えてみると、丁度十時間ばかり眠ったらしかった。暫く床の中でぼんやりした後、起き上ると、頭が常になく爽かだった。
朝食を運んで来た女中の右の頬に、薄すらと黒いものがついていた。彼はその顔を見つめた。女中は一寸微笑みかけたが、慌てて右の袂を飜えして顔を拭いた。「まだついていますか、」と彼女は尋ねた。そのきょとんとした眼付が可笑しかった。
円くもり上って宝石のような光りを持ってる、小皿の中の鶏卵の黄味に、障子の硝子から射す朝日の光りが映っていた。
食後障子を開け放しながら、寝転んで煙草をふかしていると、縁側に小さな蜘蛛の子が、すうっとあるかないかの糸を垂れて下りてきて、そのまま何処かへふうわりと風に飛ばされてしまった。