Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぎんのつえ

銀のつえ

小川 未明

Lisez 銀のつえ (ぎんのつえ) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 721 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

そのとき、白いエプロンをかけた、脊の低い女が、帳場にあらわれました。その女こそ、彼がいった時分には、まだ若かったこの店のおかみさんであったのです。

「ああ。」と、彼は、ため息をもらしました。

おじいさんは、先になって、その店の前を去り、あちらへ歩いてゆきました。彼は、黙って、その後についてゆきますと、いつしか、さびしいところに出て、橋の上にきたのであります。

おじいさんは、このとき、彼の方を振り向いて、

「おまえは、兄妹、カフェーの人たちに、もう一度あって、話をしたいと思うか。それとも、あの静かな墓の中へ帰りたいと思うか。」とたずねました。

彼は、どういって、返事をしたらいいかわかりませんでした。

「どうか、しばらく考えさしてください。」と、彼は頼みました。

「日暮れ方、私は、また、ここへやってくる。それまでによく考えたがいい。」と、おじいさんはいって、どこへか姿を消してしまいました。

彼は、独り、橋の欄干にもたれて、水の流れを見ながら考えていました。もう秋で、あちらの木立は、色づいて、吹く風に、葉が散っていました。

ふと気がついて、彼は、自身の体を見まわしますと、いつのまに、年を取ったものか、みすぼらしい老人になっていました。