Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lisez 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 745 caractères · 216 écrans

Aozora Bunko

その手首を握るものがあった。焔えるような女の手であった。

「わたしは買われて行くのです」女は突然ぶっ付けるようにいった。「それをあなたは暢気らしく、笑ってばかりおいでなさる」

「何、買われて行く? 吉原へか?」

「女郎ならまだしもよござんす。妾に買われて行くのです」

「うむ、そうして行く先は?」

「はい、あなたの大嫌いな方」

「おれには厭な奴が沢山ある。人間はみんな嫌いだともいえる」

「一人あるではございませんか。とりわけあなたの嫌いな人が」

「なに、一人? うむ、いかにも。が、それは大物だ」

「そのお方でございます」

「老中筆頭田沼主殿頭!」

「はい、そうなのでございます」

「それをお前は承知したのか?」

「お養母様が大金を。……」

「うむ、田沼から受け取ったのだな?」

「妾の何んにも知らないうちに。……用人とやらがやって来て。……」

若侍は立ち上がった。だがまたすぐに坐ってしまった。

「よくある奴だ。珍らしくもない。ふん。金持ちの権勢家、業突張りの水茶屋養母、その犠牲になる若い娘、その娘の情夫。ちゃんと筋立てが出来てらあ、物語の筋にある奴よ。今までは草双紙で読んでいたが、今日身の上にめぐって来たまでさ。