Classiques japonais avec furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lisez 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 745 caractères · 216 écrans
穢さ加減が酷いので彼は思わず眼をそばだてた。それに風態がまことに異様だ。そうして彼にはその風態に見覚えがあるような気持ちがした。
ただ爺さんというだけで、まさに年齢は不詳であった。八十にも見えれば六十にも見える。そうかと思うとずぶ若い男が何かゆえあって変装しわざと老人に見せてるのだと、こう思えば思えないこともない。
頭はおおかた禿げているが諸所に白髪がある。河原に残った枯れ芒と形容したいような白髪である。黄色い色の萎びた顔。蛇のように蜒っている無数の皺。その体の痩せていることは水気の尽きた枯れ木とでもいおうか。コチコチと骨張って痛そうである。さて着物はどうかというに、鼠の布子に腰衣。その腰衣は墨染めである。僧かと見れば僧でもなく俗かと見れば僧のようでもある。季節は早春の正月だというのに手に渋団扇を持っている。脛から下は露出で足に穿いたのは冷飯草履。……この風態で尾行られたのでは紋太郎渋面をつくる筈だ。破れた三度笠を背中に背負い胸に叩き鉦を掛けているのは何んの呪禁だか知らないけれど益※(二の字点、1-2-22)仁態を凄く見せる。それで時々ニタリと笑う。