Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 163 caractères · 25 écrans
四
平次はそれを軽く聴いて、死骸の傍に近々と寄ると、静かに花嫁衣裳の胸をくつろげます。
血潮は糊のように固まって、不気味さは一通りではありませんが、その血潮に塗れた、死骸の胸――乳のふくらみの美しさは、眼に沁みるようです。
「八、これを見ろ」
平次は身を開きました。
「え、エ、?」
八五郎には何が何やら解らない様子です。
「傷口が二つあるよ。二つとも深傷だ――並んでいるから、見えないかも知れない。拭いて見るが宜い」
「――――」
八五郎は懐ろ紙を取り出すと、仏の前の水に湿して、娘の胸のあたりを静かに拭きました。と、一つと見えた傷が、喰い違ってV字型になっておりますが、明らかに二つ、くっきりと目立っております。
四
「銭形の親分」
外へ出ると、庭の薄暗がりから出て、そっと平次を呼び留めるものがあります。
「――――」
振り返ると二十二三の若い男、緊張した青い顔が、間伸びがして少し長く、愚鈍そうな洞ろな眼、いちおう若旦那型の好い男――とは踏めますが、あまり嬉しくない人物です。名乗るまでもなくそれは、田原屋の伜田之助で、銭形平次も満更知らない顔ではありません。
「あの野郎を縛って下さい。