Classiques japonais avec furigana
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にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lisez 錦木 (にしきぎ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 52 481 caractères · 103 écrans
「いっそ一思いに三人を京にのぼせようか」
とも思って見られたけれども「久しい間こんなところに暮して居て時にもおくれただろうから若ものに恥かしい思をさせるのも可哀そうだし」と思って心の内では「弟君には彼の紫の君でもめあわせて居候の兄弟には常盤の君と自分の見て置いた若くて、美くしい女房を、そして子でも出来たらこの子を京の身よりにたのんで育ててもらえば」と心にきめて、たるんだような心持で居ながらも、その淋しさを忘れようために花、紅葉、などの宴は、いつも晴々と行って居られるので有る。
祭にも出られず、出仕も出来ない若い男や女房はこの折々をそれにかえて衣服の見せっこ、きりょうのくらべっこ、をしてよろこんで居るので有る。
(二)
片山里に住むとは云え風流ごのみは流石京の公卿、広やかな邸の内、燈台の影のないのはおぼろおぼろの春の夜の月の風情をそこなってはと遠くしりぞけられて居るためで、散りもそめず、さきものこらず、雲かとまがう万朶の桜、下には若草のみどりのしとね、上には紅の花の雲、花の香にようてかすむ月かげは欄干近くその姿をなげる。
一刻千金も高ならぬその有様をまともに見る広間はあけはなされてしきつめられた繧繝べりの上をはすにあやどる女君達の小机帳は常にもまして美くしい。