Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にしきぎ
錦木
宮本 百合子
Lisez 錦木 (にしきぎ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 52 481 caractères · 103 écrans
やっぱり正気にかえったのではなかった。
「ほんとうにネエ、私はまぼしいようなかがやきのある藻の林の中に身をしずめてじっとして居たくなってしまった。そしたら、ネエ、こんな悲しいことや辛いことは有るまいもの」
しみじみと正気の人の云うように云って女をだいたままたおれてしまった。女はあわてて身をもがきながら、
「御はなし下さいませ、御はなしはどんなにでもうかがいましょうから」
おだやかに光君は手をはなした。
「ネ、どうぞ私のことはいつまでも忘れないで御呉れ、ソラ、鳥がとぶ、雲がとぶ、心も――」
光君のいつになくおっとりした口のききぶりや、しみじみとした口つきに紅はもしや何か変ったことはないだろうかとそう思われた。
「忘れはいたしませんとも、死にましても、どんなことがあっても忘れなんかいたしますもんか」
光君はこのことをきいて安心したように立つと、又人形をだいてはなされないようにじっとそれをだきしめたまま、日は暮れてしまった。灯のかげに光君と二人の女は何も云わずに、何かに見込まれたように、またたく灯かげを見つめて居た。
「ネー若し、今日は若様はいつになくしみじみとね、涙の出るようなことばかりおっしゃって御いででしたの、もうほんとうにネー」