Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かぎからぬけだしたおんな

鍵から抜け出した女

海野 十三

Lisez 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 188 caractères · 43 écrans

Aozora Bunko

「ね、その函のことを御存じなんでしょう。さあさあ早く云って下さいませ。イヤこうなれば何もかもお話しましょう。ねえ北川準一さん。その美しい函は、実は貴方の亡くなった父君準之介氏が、米国にいられるとき秘蔵していられたという問題の函なんですよ」

「なんですって?」

僕は心臓の止るほど愕いた。このような偏土に来て、しかもこのような神秘な尼僧院の中で、そして一夜を一つ衾に夢を結んだ生命の恩人である尼僧から、突然懐かしい父の名を耳にしようなどとは夢にも思いがけぬことだった。

「庵主さんは、僕の亡き父をご存じなんですか?」

尼僧はちょっと眼を伏せたが、

「ええすこしは存じているといったがいいのでしょう。いずれ詳しいお話をするときが来るでしょう」

「庵主さん、貴方は失礼ながら、どんな素性の方ですか」

尼僧はそれには応えようともせず、

「その函の中には、或る秘密があるのです。あたしはその在所を探していたのです。貴方のお持ちの鍵は、その函を開く鍵なんですのよ。どうかその鍵をあたしに譲って下さらない。悪いようにはいたしません。その代り、今夜にも、貴方を安全にこの島から逃がしてあげます」