Classiques japonais avec furigana
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かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
Lisez 鍵から抜け出した女 (かぎからぬけだしたおんな) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 188 caractères · 43 écrans
「呀ッ……」
胸のまわりに、何かグルグルと捲きつけた。
次に、彼女が背後にまわる気配がして、こんどは肩の上からゾロリとした着物のようなものを着せた。(和服らしい?)
すると、こんどは腰骨のあたりを、細い紐でギュウギュウと巻いた。それがすむと、なんだか胸のところへたくしこみ、シュウシュウと音のする幅のある帯らしいものを乳の下に巻きつけた。――僕はドキンとした。頬が火のように火照ってきた。
(これは女装じゃないか?)
それから気をつけていると、後のところはいちいち思い当った。さっき着たのは長襦袢らしく、その上にまた重い袖のある着物が着せられ、やがて腕をあげてその袖がグルグルと巻きつけられ、こんどは胴中に幅の広い丸帯が締められ、そして最後に、羽織が着せられたことまで分った。庵主はその間、気味のわるいほど一語も発しなかった。ときどき彼女の柔軟な二の腕が僕の腰に搦みついたり、そうかと思うと熱い呼吸が僕の頬にかかったりした。
「さあ、こんどは座って下さらない。……そっとですよ。そっとネ」
僕はいうとおりにした。
「もう目隠しはとってもいいわ、あとのことが出来ないから、仕方がないわ」