Classiques japonais avec furigana
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かぎやのつじ
鍵屋の辻
直木 三十五
Lisez 鍵屋の辻 (かぎやのつじ) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 524 caractères · 25 écrans
そして敵から与える「間」にこっちが働いて行くのである。「無」になる為めには勿論生死を出ていなくてはならぬ。何時(いつ)でも死んでもいい腹は一番に結(くく)っておかねばならぬ物である。武蔵に見出された時の都甲太兵衛が、細川公の前で武蔵から、
「平常(へいそ)の覚悟は」
と聞かれて、
「いつも死の座に居るつもりしていたが、近頃その死という事も忘れた。何も云う事も無いが、そう聞かれると、こうでも返事するより外に覚悟は無い」
と答えると、武蔵が、
「これが剣の極意と云うもの」
と云った話がある。宗矩の高弟である又右衛門も多少この辺の事は心得ていたらしい。腰の一件も、強敵桜井半兵衛を斬倒していた時だから、
「腰ならいい」
と撲らしておいたとも云える。少くもその腰を撲った小者を、刀で払いはしたが斬らなかった所を見ると対手にせなかったものらしい。
「危い危い、傷(けが)しちゃいけないから退(の)け退け」
位(ぐらい)は云ったかも知れぬ。――と、尤(もっと)もこれは又右衛門を贔屓(ひいき)にしての説明で、本当は油断の隙を撲られたのかも知れない。
二
「主人、朋友の敵(かたき)は其義(そのぎ)の浅深に可依也(よるべきなり)、我子並(ならび)に弟の敵者不討也(かたきはうたざるなり)」