Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
いんじゅう
陰獣
江戸川 乱歩
Lisez 陰獣 (いんじゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 968 caractères · 131 écrans
「何かあったのですか」私も誘込まれて、つい物々しい囁き声になっていた。
「この家の中に平田さんがいるのでございます」
「どこにですか」私は彼女の意味が呑込めないで、ぼんやりしていた。
すると、静子は思切った様に立上って、真青になって、私をさし招くのだ。それを見ると、私も何かしらワクワクして、彼女のあとに従った。彼女は途中で私の腕時計に気づくと、何故か私にそれをはずさせ、テーブルの上へ置きに帰った。それから、私達は足音をさえ忍ばせて短い廊下を通って、日本建ての方の静子の居間だという部屋へ這入って行ったが、そこの襖を開ける時、静子は、すぐその向側に曲者が隠れてでもいる様な、恐怖を示した。
「変ですね。昼日中、あの男が御宅へ忍込んでいるなんて、何かの思違いじゃありませんか」
私がそんなことを云いかけると、彼女はハッとした様に、それを手真似で制して、私の手を取って、部屋の一隅へ連れて行くと、目をその上の天井に向けて、「黙って聞いてごらんなさい」という様な合図をするのだ。
私達はそこで、十分ばかりも、じっと目を見合せて、耳をすまして立ちつくしていた。昼間だったけれど、手広い邸の奥まった部屋なので、何の物音もなく、耳の底で血の流れる音さえ聞える程、しんと静まり返っていた。