Classiques japonais avec furigana
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すずめがもりのかいい
雀が森の怪異
田中 貢太郎
Lisez 雀が森の怪異 (すずめがもりのかいい) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 614 caractères · 14 écrans
「何かあったのですか」
「雀が森に人が死んでるのですって」
彼は神中に万一のことがあったのではあるまいかと思ってびっくりした。
「雀が森」
「そうですよ、あの石燈籠の傍だそうですよ、洋服を着た立派な男だと云うのですよ」
神中は白い浴衣を着ていたから、洋服を着ていると云えば神中ではないと思ったが、それでも安心ができなかった。
「病気でしょうか」
「傷もないそうですから、卒中かなんかじゃないでしょうか、書生さんも見ていらっしゃいよ」
「そうですね、見にいきましょうか」
彼は見とどけないうちは安心ができないので、顔をそこそこに洗ってそのまま雀が森へ往った。出たばかりの初夏の朝陽が微熱をただよわした路には、やはり死人を見に往くのか何か話し話し林の方へ往く人がちらばっていた。彼はその人びとを追い越すようにして往った。
石燈籠の前には二十人ばかりの人が輪をつくっていた。そこには一枚の藁莚を被せて覆うてあるものがあった。彼は人輪の間にはさまってのぞいた。一方藁莚の端の方には赤い編上げ靴をはいた双足が出ており、反対の方になった左横には黒っぽい洋服を着た手さきが一つあらわれて、ふとった脂ぎった掌を見せていた。