Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめあがり

雨あがり

山之口 貘

Lisez 雨あがり (あめあがり) de 山之口 貘 (やまのくちばく) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 1 503 caractères · 3 écrans

Aozora Bunko

「ただいまあ」

「早かったわねえ。おかえんなさい」

母親は、そういってから、つづけて「よく合羽わすれなかったわねえ。かんしんかんしん」といった。

すると、ミミコは、にっこり笑って、いったのだ。

「でもねえ、ランドセルわすれてきちゃったのよ。ごめんなさいね、おかあさん」

ぼくら夫婦は、口を開けて、顔を見合わせてしまったのである。

「だって、こんなにたくさん、にもつがあるんだもの」

ミミコは、そう言いながら、片方の手にぶらさげていた草履袋だの手提げの籠だの、縁の上に投げ出して、片方の手で、胸に抱いていたごわごわの赤い合羽を、それらの上におっかぶせたのであるが、なるほど、小さなからだでは、それらの物を運ぶだけでも、精一杯のことにちがいなかったのであろう。おまけにお天気になったために、前の経験が眼をさましたりして、合羽を忘れてはなるまいと、そのことにも気をとられたりして、つい、ランドセルには失礼してしまって、そのまま置き忘れて来たのではあるまいか。

そのように、考えてみると、大人の世界でもありがちな忘れ方なのであって、ぼくは、おもわず、自分の口を塞がないではいられなかったのである。