Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あめ

雨

織田 作之助

Lisez 雨 (あめ) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 421 caractères · 60 écrans

Aozora Bunko

だから彼はその世界を奪ったものに対する嫌悪にすがるより外に自分を支える道がなくなったと感じた。そうして、今まで漠然と感じていた何ものかへの敵愾心が初めて明瞭な姿をとって彼に現われて来た。彼は自分の周囲、就中雇人、そしてそれ以上に義父の安二郎に敵意を感じた。自分を非常にみじめだと誇張し、自分を卑下する気持になった。そしてそのことが彼の敵愾心を一層強めた。

敵愾心を募らしてみても、しかし、その捌け口に困った。一個一厘の廃球を割ったり、同級生の頭をこついたりしてみても、如何にもけちくさく、それよりか、一里以上もある道を築港まで歩いて行き、黄昏れる大阪湾をながめて、豹一おまえは可哀そうなやっちゃと自分を甘やかしている方が気が利いていた。夕陽を浴びて港を出て行く汽船にふと郷愁を感じたり、訳もなく海に向って毒づいている方がふさわしいと思った。少年はいつの間にか自分は孤独だと決めることによって涙を流しまたその涙をひそかに愉しんでいた。ある日港の桟橋で、ヒーヒーと泣き声を立てる代りに馬鹿野郎と呶鳴り、誰もいないと思ったのが、釣をしていた男がいきなり振り向いて、こら何ぬかす、そして白眼をむいている表情が生意気だと撲られた。