Classiques japonais avec furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Lisez 雪たたき (ゆきたたき) de 幸田 露伴 (こうだろはん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 132 caractères · 56 écrans
にッたりはにッたりで無くなった。
「木沢殿」と呼ぶ若い張りのある声と
「丹下氏」と呼ぶ緩い錆びた声とは、同時に双方の口から発してかち合った。
二人が眼々相看た視線の箭は其鏃と鏃とが正に空中に突当った。が、丹下の箭は落ちた。木沢は圧し被せるように、
「おきになされい、丹下氏。貴殿にかかわった事ではござらぬ。左京一分だけのずんと些細なことでござる。」
と冷やかに且つ静かに云った。軽く若者を払い去って了おうとしたのであった。然し丹下の第二箭は力強く放たれた。
「イヤ、木沢殿。御言葉を返すは失礼ながら、此の老人の先刻よりの申状、何事なりとも御意のまにまに致しまするとの誓言立、御耳に入らぬことはござるまい。臙脂屋と申せば商人ながら、堺の町の何人衆とか云われ居る指折、物も持ち居れば力も持ち居る者。ことに只今の広言、流石は大家の、中々の男にござる。貴殿御所持の宝物、如何ようのものかは存ぜぬが、此男に呉れつかわされて、誓言通り此男に課状を負わさば、我等が企も」
と言いかくるを、主人左京は遽ただしく眼と手とに一時に制止して、
「卒爾にものを言わるる勿。もう宜い。何と仰せられてもそれがしはそれがし。