Classiques japonais avec furigana
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ゆきやなぎ
雪柳
泉 鏡花
Lisez 雪柳 (ゆきやなぎ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 054 caractères · 90 écrans
「遁すなよ。」
という声がする。
「追え、追え。」
「娑婆へ出た。」
と口々に、式台へ、ぱらぱらと女たち。
門外へ足がのびた。
「手桶では持重りがして手間を取る、椀、椀、椀。」
といった……ここは書きとりにくい。魔界の猫邸であるのに、犬の声に聞えます。が、白脛か、前脚か、緋縮緬を蹴て、高飛びに追かけたお転婆な若いのが、
「のばした、叶わぬ。」
と、その椀を、うしろから投げつけたのが、空を足掻く馬の踵に当ると、生ぬるい水がざぶりとかかった。
生命拾を、いや、人間びろいをしたのであるが、家に帰って、草鞋を脱ぎ、足を洗う時心づくと、いやな気味の水のかかった処に、もさもさ黒い毛が生えていた。剃っても削っても、一夜のうちに湧いてのびる。……のみならず、当分は、
「椀。」
と一言いうさえ、口を塞いで、顔の色を変えた。「不思議にも浅間しく人々にも見せ申したり。馬五郎に心安ければ目のあたりこれを見る。なかなか浮きたる事にはあらず。」というのであります。
浮きたる事にも、飛んだる事にも、馬を鹿に、というさえあるに、猫にしようとした……魔魅の振舞も沙汰過ぎる。聞くからに荒唐無稽である。