Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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せつれいきじ

雪霊記事

泉 鏡花

Lisez 雪霊記事 (せつれいきじ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 532 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

一

「このくらいな事が……何の……小児のうち歌留多を取りに行ったと思えば――」

越前の府、武生の、侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は――そう思いました。

思いつつ推切って行くのであります。

私はここから四十里余り隔たった、おなじ雪深い国に生れたので、こうした夜道を、十町や十五町歩行くのは何でもないと思ったのであります。

が、その凄じさといったら、まるで真白な、冷い、粉の大波を泳ぐようで、風は荒海に斉しく、ごうごうと呻って、地――と云っても五六尺積った雪を、押揺って狂うのです。

「あの時分は、脇の下に羽でも生えていたんだろう。きっとそうに違いない。身軽に雪の上へ乗って飛べるように。」

……でなくっては、と呼吸も吐けない中で思いました。

九歳十歳ばかりのその小児は、雪下駄、竹草履、それは雪の凍てた時、こんな晩には、柄にもない高足駄さえ穿いていたのに、転びもしないで、しかも遊びに更けた正月の夜の十二時過ぎなど、近所の友だちにも別れると、ただ一人で、白い社の広い境内も抜ければ、邸町の白い長い土塀も通る。