Classiques japonais avec furigana
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でんきかんばんのしんけい
電気看板の神経
海野 十三
Lisez 電気看板の神経 (でんきかんばんのしんけい) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 480 caractères · 29 écrans
二人は睨み合いの状態となり、お互に持つ兇状は、二人を奇怪きわまる共軛関係に結びつけてしまった。第三の惨劇もコックの春吉の手で行われたが、それは鈴江への脅迫材料になると共に、又自分の重荷にもなってしまった。二人はお互の行動について極度の注意を払った。一方が、その筋へ一方を訴えて死刑台へ送れば、次の日には自分も必ず捉えられて死刑台へ送られねばならなかったのである。二人は、別々に、この点について理解し、相手から脱れる方法に苦心し合った。その結論は、唯一つあった。相手の生命をとってしまうことだ。この外に、生きる途はないと知った彼等は、お互に相手の隙を覘い合った。だが第三の惨劇で、いよいよこれ迄の犯跡が曝露しそうになったのをみてとった彼等二人は、朝の太陽が東の地平線から顔を出す前にこのカフェから手をたづさえて遁走してしまったのである。いや、この市街から永遠に去って行ったのである。敵同士の不思議な旅が始まった。怪奇に充ちた生活がはじまった。彼等は、外から見れば、羨しいほど仲のよい、そして慎みのある若い男と女とであった。しかし人目を離れて二人っきりの世界になると、慎恚のほむらは天に冲するかと思われ、相手の兇手から脱れるために警戒の神経を注射針のように尖らせた。