Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きりのなか

霧の中

豊島 与志雄

Lisez 霧の中 (きりのなか) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 920 caractères · 40 écrans

Aozora Bunko

万年筆、鉛筆、紙切ナイフ、補助の眼鏡、古い懐中時計、ネクタイピン、原稿紙の上にのってた形態の知れない鉄塊など、ごくありふれたがらくたが、遺骨の代りになったのである。そして美しい新鮮な花が祭壇を殆んど埋めつくし、その色彩と芳香は蝋燭の火や線香の煙を圧していた。故人が愛酒家だっただけに、集った者のうちにもそれが多く、一座は何となく宴席の趣きを呈した。若い人々の間では、社会や道徳や文化や芸術などの問題について元気な議論が交された。

正夫も遅くまで起きていた。家中のことを仕切ってる中根のおばさんは、その晩、へんに正夫を自由にさしておいてくれた。故人の旧友で、語学教師であり飜訳家である木原さんが、正夫を一同に一人一人紹介してくれた。正夫は果物をたべ、サンドウィッチをつまみ、酒も一二杯なめた。そしてもう十二時近い頃だったろうか、階下の奥の室の縁側で、真暗な庭の方をぼんやり眺めていると、木原さんがやって来た。木原さんは正夫の肩に手をかけながら、故人のことを話しだした。故人は近年、あらゆる意味で宙に浮いていたのだそうである。生活の意義を求めて得ず、道徳の根拠を求めて得ず、女性の魂を求めて得ず、而もそれらの追求は、一種の漠然たる恋愛的観望の形となり、その観望がいつまでも満されないために、人間や社会に対する蔑視が起り、蔑視