Classiques japonais avec furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lisez 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) de 下村 湖人 (しもむらこじん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 550 caractères · 203 écrans
」
こうして上って来た壺は、縄についたまま、次から次へと、順序よく船の中に積み重ねられる。そして、その中からは、のそのそと、大蛸小蛸が、海底での保護色をそのまま、色とりどりに這い出して来る。這い出して来た奴は、片っぱしから活間に放りこまれて行く。
最初の繰りあげからこれまでの作業を、たった一人の青年が、われわれと話をしながら、いかにも楽々とやってのけている。蛸を活間に放りこむ事などは、縄をたぐりながら、足先でやるのである。一縄の壺の数は約一百、そして繰りあげに要した時間が、僅かに二十分である。
だんだん話しているうちに解ったことだが、この青年こそは、率先して前田君の発明を利用した河野君であり、そして、この船こそは、その機械を最初に取りつけた船だったのである。わたくしは、河野君の朗らかな、そしていかにも真実味のある顔を、あらためて見直さないわけには行かなかった。
繰りあげが一縄すむと、動力はまた船の推進の方に転換され、船の位置がいくらか移動したところで、今引き上げたばかりの縄が、再び勢いよく投げこまれた。きくと、同じ場所でつづけると、殆んど蛸の入りがないそうである。