Classiques japonais avec furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lisez 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 593 caractères · 325 écrans
そしてまた、そのような青春に背中を向けて今夜も一人で帰って行くだろう豹一に対しても、何か済まない気がするのだ。「八尾政」を出ると、はじめて野崎はおずおずと口を切るのだった。
「赤井、金なんとかしようか?」
「うん、そうだな。しかし、べつに今夜は――」そう赤井が言うと、野崎はなにがなんだか分らなくなって来るのだ。赤井の青春説を改めて考え直すのだ。
「君さえ構へんかったら、なんとかするぜ」
「当あるのか?」
そう言われると、野崎ははじめて釈然として来て、嬉しそうな顔をするのだ。
「あるぜ」
「そうか。そんなら僕どこで待っていようか?」
「ヴィクターで待っててくれ」野崎はなにか責任の重さを痛感したような顔で、夜の町を金策に奔走するのだった。
ある日、野崎は突然行方不明になった。その前の晩野崎と赤井と一緒に宮川町で泊ったのだが、金無しで泊ったので、野崎は赤井を人質にして金策に出掛けた。が、何時間経っても赤井のところへ帰って来なかった。そこの家の女中が学校へ豹一を訪ねて来て、金をもって帰り、それでやっと赤井は人質から解放されたが、野崎はそれから三日も下宿へ帰って来なかった。